・幸腹グラフィティ:第5話『ぢゅるるんっ、ごくん。』
女通しの情念が絡みあう微熱系日常アニメ幸腹グラフィティですが、椎名メイン回だった所為か、今回はさっぱり目の仕上がり。
単純なゆる系日常アニメというには、やっぱ演出が尖ってて素直には飲めないんだけどね。
きりんもリョウキチっぷりを抑え、夏休みを満喫する普通の小学生みたいだったし……中学生だっけ?

椎名はクッソ面倒くさい粘性カップルの間で便利に使われてる立場なのですが、あんま感情が見えてこないので便利な自分自身をどう思っているのか、良く判んない女。
今回の話しも母親やお手伝いさん、家のデカさといった周辺の描写がメインであり、中身の方はあんま掘られなかったように感じた。
掘り下げたらとんでもない闇が出てきそうな気配もあるので、しっかり準備を整えてからやるのだろうか。
自分はこのアニメのクッソ面倒くさい描写が好きなので、椎名さんも便利な立場に甘んじず、泥を吐いていいと思います。

 

・神様はじめました◎:第5話『神様、二度目の告白をする』
今後の展開への種まきは終わったし、これからお前らが血反吐吐くまでラブコメをする!! と言わんばかりの、超直球ラブラブ回。
巴衛の面倒くささが天元突破してたが、悔しいことにその面倒くささにキュンキュンする。
奈々生ちゃんは天真爛漫な所が魅力だけど、確かに防衛意識弱いところもあって、巴衛としちゃ気が気じゃないわね。
こーいう古典的な歯がゆいすれ違いをしっかりやってくれると、楽しくヤキモキ出来て素晴らしい。

巴衛との神子契約が沙汰無しで継続したり、ミカゲが自分の思惑をちょっと喋ったりもして、実はお話的にも色々あった。
ミカゲが糸を引いた結果の出会いだとしたら、二人の関係も見かけほど盤石じゃないかな?
そういう不安定さを巧く見せつつも、糖分たっぷりなラブ描写をたらふく摂取できて、大満足なお話でした。

 

・アルドノアゼロ:第17話『謀略の夜明け —The Turning Wheel—』
火星サイドと地球サイド、どちらのお話も回転する山場の回。
偽姫という人形の手綱が緩み、火星人通しでくっだらない決闘してるスレインくん。
腹を割った化かし合いを経て、敵の巣へ信頼できる人形を送り込み、火星人であるライエとの絆を深めたイナホくん。
『常に間違え続ける男』と『常に正解し続ける男』、二人の生き方の違いが綺麗に対比されていました。

マズゥールカ卿はザーツバルム卿の後釜を担う、話が通じる貴重な火星人として、立派にイナホくんに取り込まれていきました。
イナホくんは冷徹に見えて熱血なので、心理誘導を駆使して便利な手駒を手に入れた形ではあるけど、マズゥールカ卿には相当入れ込んでいると見た。
イナホくん、説得する時嘘は一言も言ってないし。
ライエにしても姫様にしても、対話可能な火星人と協力することでイナホくんは生き残ってきたわけで、目の前の現実に対処し続けるイナホくんが結果として理想を掴みに行って、理想を口にしていたスレインくんが現実に喰われていく所も、対比的なお話だなとか思う。

今回マズゥールカ卿とパイプを作ったことで、話の落とし所が生まれた感じもあり、イナホサイドの話は安定しているなぁ、とつくづく思います。
ヒロインレースでライエに大きく水を開けられたインコちゃんが、なんかトンチキなことをしなければ、ですが。
第一ヒロインたる姫様と同じ属性を持っていて、防壁突破補正まで乗るライエに比べると、最初から距離が近いインコちゃんは不利な立場よね。


一方人種差別と謀略が渦巻く火星サイドは、スレインくんが気持ち悪くて、偽姫さまが暴走を始め、アホな巻き毛が処刑執行書類にサインをしていた。
籠の中の鳥とペンギンの話は、水槽に閉じ込められた姫さまと、足の悪い偽姫さまに被せてんのかな。
自分の気持ちよさ最優先とどっかで自覚しつつ、己の業に忠実に地獄に転がり落ちていくスレインくんが、僕は好きです。
いや、わざわざ姫様の前で鳥類学講座したりするの、最高に気持ち悪いけどね。

マズゥールカ卿で『いい火星人』を見せた分、巻き毛で『悪い火星人』を見せる展開なわけだが、それにしたってあの人は頭の弱い人種差別主義者過ぎて面白い。
というか、あのレベルの生き物が『普通の火星人』なんだろうなぁ……地球も天国ってわけじゃないが、そらカタクラフト持ってても一年半粘られるわけだわ。
ハークライトが革新を期待するのも納得だが、肝心のスレインくんに『世の中を良くする』『火星を変える』という意欲があるのか、それとも私欲だけなのか。
そこら辺は決闘の最中、もしくはその後に見えてくる部分かもしれない。

お互いの思惑、お互いの状況で二人の男が運命を切り開き、もしくは流されていくお話でした。
今回打った布石がどういう仕事をしていくのか、なかなか楽しみな展開だったと思います。
マズゥールカ卿はとても好感が持てるキャラクターなので、可能な限り長生きして欲しいなぁ……。

 

・蒼穹のファフナー EXODUS:第5話『新世界へ』
新兵たちの初陣と、希望への旅立ち前夜という回。
希望というには不穏に過ぎる演出が、そこかしこに埋め込まれていたがな!
こんだけ死亡フラグっていうか死亡ジェンガを積み上げると、いつか崩れることそれ自体には覚悟が決まっていいですね!
……これだけ死の気配を埋め込んで、なおかつ『誰も死なないといいなぁ』なんて夢を見るのは、彼らが持ってる希望や夢、平穏な日常の描写が巧く、視聴者が「どーにかなんないんスカこれ!!」と焦燥感を抱くからだろうなぁ。

ロボットアニメにおいて戦闘シーンは花であり、新兵器や新発想を駆使し、新入りたちの卓越した能力が見れた今回の戦闘、非常にグッド。
その上で『これはあんまり心躍ってはいけないものなんじゃ?』という後ろめたさを抱くのは、多分戦争を描くフィクションとしては真っ当な見せ方だ。
真っ当すぎてなかなか真似できないくらい、このアニメの戦闘シーンはイヤーな気配に満ちていて、『誰かがいつ死ぬか解らねぇ』と思いながら見ざるを得ない。
絶望的な状況での戦闘は、その巧拙にかかわらず絶望的なはずで、気持ちのいいヒロイシズムに酔わせない作りは、僕の好みにはシックリ来る。

『敵が非常に強力なので、見方の優秀さに安心できない』というのは、単純な殺陣の組み立てとしても良く出来ていて、視聴者を弛緩させないアクションを成立させている。
テーマとアクション、理論と実践が巧く噛み合っているから、アニメとしての面白さがグイッと上がってんだな。
色んなモノを取りこぼさないで貪欲に拾っていく制作姿勢は、非常に重たくシリアスなテーマを扱う上で、重要かつ大事だと思います。
重たいだけだと、押しつぶされて先を見たくなくなっちゃうし、悪趣味に見えてくるからね。


戦闘が終わって島の日常ですが、芸能に憧れていた広登の自己実現と、設定説明を兼ねたインタビューパートがとても良かったです。
子供のお遊びのように見えて、様々な立場の主張を的確に拾い、これから行われる作戦の意味をコンパクトにまとめた立派なインタビューであり、放送室を占拠することしか出来なかった少年の成長を、強く感じました。
だから死にそうな発言を乱発するのはやめてくれ! 生きて帰ってきてマジ!!

取り乱しました、広登好きなんですねハイ。
他の連中も今の希望と将来の絶望を丁寧に見せてくれ、群像劇に必要な『各々の肖像画』を見せるシーンとして、良い演出が多かったです。
こう云う風にキャラクターが何を大事にし、何を望んで行動しているかをさらっと、しかし伝わるようにしっかりと見せてくれることで、事態が変化した時に受ける印象がより強くなるわけで。
みんなやりたいことや守りたいもの、許せない過去や変化した考えがあって、全てが同じではないが、一つの目標に向けて進んでいる感じというのが、多人数が係るお話には大事だと思います。

闘争と平和、相反する要素が入り混じって存在する世界を切り取った、良い回だったと思います。
係る人数が多く、それぞれの立場や感情も異なる難しいお話を取り回す手際を、しっかり見せてくれて安心しました。
Cパートのポエムが死ぬほど不穏でしたが、さて次回、どうなることやら……。

 

・アイドルマスターシンデレラガールズ:第5話『I dont want to become a wallflowe』
選ばれなかった者達の言葉を前川みくに代弁させることで、アニメ全体のラインを引く回でした。
三話で見せたストレスコントロールの巧さは健在で、事故ギリギリのラインで作品の生っぽさを担保しつつ、壁の花を壁に下げる展開をスムーズにする、見事な仕上げ。
前川さん以外のキャラの出入りもしっかりしたもので、五話という話数に相応しい出来だったと思います。


まずは、前川みくについて語らなければいけないでしょう。
彼女はその登場からしてシリアスとコメディ、両方の中間点にいるキャラクターであり、まぁ『猫キャラて……キミィ』という感想が先に立つように、画面に入りました。
その後もダンサーデビューを先取りした主役三人につっかかりつつ、あくまでじゃれ合いの範囲で収まるよう本音をコントロールしつつ、画面を賑やかしていました。

しかし、ただのコメディキャラとして前川みくを描写していないことが、このアニメの強さでありまして、「三人は何キャラで行くの?」という初ゼリフには、彼女が持つ『キャラを付けないとアイドルとしては戦えないという認識』が透けて見えます。
万事そういう調子で、失笑混じりの笑いを取りつつ、彼女の柔らかい感性やアイドルという職業の認識、自己意識などは丁寧に透かしで演出されてきました。
ニュージェネレーションの三名は『猫耳つけなくてもデビューできるアイドル』『最初から武器を持っているアイドル』なわけで、『猫耳つけてもデビューできないアイドル』『武器と鎧は自分で用意して、バックから取り出して付けないといけないアイドル』前川みくは、言わば作品内部の凡人代表に当たります。

さて今回、前川みくは凡人代表として、腹にたまった鬱屈をこれでもかと表現し続けます。
出だし、デビュー格差について文句を言うのが前川ではなく城ヶ崎妹であるというのは、15歳の前川みくが世界をどう認識しているか、良く見えるシーンです。
12歳の子供として素直に、真っ先に不満を口にして躊躇うことのない莉嘉に対し、一番不満を感じ、前回までの流れの中でも突っかかってきた前川は、感情を迸らせることを躊躇しています。
城ヶ崎莉嘉と前川みくの間に横たわる3歳の年齢差は、感情をただ突きつけても変わってくれない大人の世界のルールを、納得しないまでも認識させるのに十分なわけです。

莉嘉の後追いをする形で不満を叩きつけた前川さんは、あくまでコメディチックに、選ばれなかったことへのプロテストを続けます。
前回までと同じように、遊びの延長線上で行われる"黒ひげ危機一発"に、しかし前川は初めて勝つ。
でも、何も変わらない。
年下で仲も良い莉嘉とみりあを引き連れ、猫耳もバッチリキメて達成した"勝利"は、あくまで遊びでしかなく、美城という企業体が責任をもって運営するCDデビューを揺るがす威力は、一切持っていない。
この瞬間、前川みくを取り巻く世界のルールが変わるわけです。

前川みくは自分の不満を巧く宥めて、例えば一番最初に「おめでとう」を口にした三村かな子のように、笑顔でニュージェネレーションを祝福できるほど、大人もいい子でもありません。
同時に、莉嘉のように素直に感情を表明できるほど子供でもなく、真っ先にデビューが決まるほど才能があるわけでもなく、全て諦めて普通の女の子になれる程枯れてもいない。
全てが宙ぶらりんな前川みくは、黒ひげを飛ばしたおもちゃの剣と、急いで被った猫耳しか武具を持たず、遊びという形でしか大人の世界(≒シンデレラプロジェクト)に関わることが出来ない、不器用な少女です。


そんな彼女が描く未来が、子供めいたイラスト一枚だと断言してしまう『未来会議』のシーンは、真綿に包まれた真剣みたいな残酷さを持っていたと、僕は感じました。
稚拙(高森奈津美さんスイマセン)とすら感じる、『猫と私と可愛いステージ』という、漠然とした夢。
飾り気のないジャージを着こみ、ユニット名やレコーディングなど、具体的かつ実証的な歩みを着実に進めていく五人の姿を間に挟み込むことで、選ばれなかった9/14が、その代表前川みくがどれだけ大人の世界に無力な子供なのか、つきつけるシーンだからです。

その上で、あのシーンで示されたのはシンデレラプロジェクトメンバーのアイドル像、なりたい自分、初期衝動、もしくは夢なのであり、このアニメが夢を追いかけていく物語である以上、絶対に大事にしなければいけないものなわけです。
稚拙でも無力でも、あそこで示された夢に向かってあの子達は駆けていくしかないわけで、それを目に見える形で表現するきっかけが前川みくであったというのは、僕にとっては嬉しい事でした。
大人の世界のやり方を何も知らない壁の花達は、当然のことながら夢を突き返され、『このやり方では』夢が叶わないと思い知らされるわけですが、それは今現在のこと。
世界と自分を適応させる手段を学習し、衝動を現実に帰る方法を手に入れていくのが成長ならば、成長譚であるこのアニメにおいて、今回見せた夢はいつか必ず叶う、叶って欲しいと、強く思います。

さておき、おもちゃの剣を振り回す前川みくの空回りは何ら実を結ぶことなく時間は進み、彼女は焦っていきます。
本心が剥き出しになるに従い、猫耳という鎧を付けていく余裕が無くなっていくのは面白い演出で、『頑張って』やらなければならない『小さな仕事』であるキグルミのシーンで、前川さんは猫耳を外し、シニカルなトーンで「検討中って言われるのがオチにゃ」と呟きます。
『にゃ』という語尾はまだ装備出来ているものの、子どもの遊びが通用しない状況に苛立ち、焦っている気配が、既に声に滲んでいる。
此処で思いついた逆転の秘策『大人がやっているように、自分がやりたいことを書類で提出しよう作戦』も、先述したように、大人の真似っこでしかない。
もう15歳の前川みくには、大人の事情は察せられても、まだ15歳の前川みくには、大人のやり方はからきし解らないわけです。

前川さんだけが子供のように書いていますが、自分たちのユニット名を結局決めれず、大人代表であるプロデューサーに決めてもらうニュージェネレーションも、当然大人のやり方を巧く使うことの出来ない子供です。
先にステージを経験し、デビューに向けて着実に歩んでいるように見えても、シンデレラプロジェクトの15人は(程度の差はあれ)皆子供であり、現状無力な(そして無力なままではけしてないだろう)存在なのです。
あらゆる状況で孤立してる子に声をかけまくり、穏当な解決策を提案し続けるきらりが、人格的な成長度という意味では一番大人なのかなぁ……。


こうしてコミカルに、しかし同時にシリアスな危うさを詰め込んで、前川みくは限界に達します。
喫茶店を占拠しストライキ(と言うよりもデモンストレーション)に入る仕草はまだコミカルですし、『にゃ』語尾も健在です。
事此処に至って、なお笑いを入れることの出来る強さが、前川みくをして凡人の代弁者たらしめている。

「デビューを要求する」と吠えてからのシーンは笑いのない真剣なもので、逆に言えば今回はこのシーン以外、重たいムードの無い回だと言えます。
それは逆説的に、前川みくが抱えている苛立ち、中途半端さと真摯な訴えが、極端に重たい問題だということです。
コメディタッチの演出で空気を抜かず、真っ向から前川みくの、彼女が代表する凡人たちの問題を取り扱えば、これは才能と運、愛されるための条件の話になってしまいます。

それは答えの出ない問であり、元気で綺麗で楽しい日常シーンなどやっている余裕のない方向に、物語を引っ張っていってしまう問いかけです。
『なんでみくはデビューできないのか』という問いかけに『それはみくにゃんに、アイドルの才能がないからだよ。それだけだよ』と返してしまえば、これだけライティングとレイアウトを駆使して印象を操作し、『なんだか楽しそう』『なんだか羨ましい』と視聴者に思わせるために努力しているアニメーション全体の基調が、別の方向に行ってしまう。
前川みくのプロテストの扱いは、アニメ全体が『才能』をどう扱うか見せる、とても重要なシーンになるわけです。

世界には、愛される存在と愛されない存在、選ばれる存在と選ばれなかった存在、凡人と天才の差がある。
夢と才能を扱う話である以上、このギャップは必ず扱わなければいけませんが、同時に取り扱いの難しい問題でもあります。
誰が、どう口にし、どう受け止めて対応するのか。
物語全体の航路を決める重要な要素だからこそ、この瞬間のために前川みくは『コメディとシリアス』『子供と大人』の中間点として、二話から描写され続けてきました。

全てを『コメディ』として処理するには、重要過ぎる問いかけだから。
『シリアス』一辺倒では物語が重たくなりすぎるから。
それをわざわざ口にしないことが『大人』の条件だから。
『子供』はギャップの存在自体に気づいていないから。
中途半端な凡人の前川みくだけが、あの場所で『愛されるものの条件』を問うことを許されるわけです。


拡声器も使わず、『にゃ』語尾も消えた素裸の訴えは、しかしかなり捻れた解決を迎えます。
CDデビューは最初の五人で終わりではなく、残りの九人もデビューを計画中であるということ。
前川みくは見捨てられた子供でも、努力しても虚しい凡才でもなく、既に選ばれ愛された子供であるということをプロデューサーが伝えて、劇場の占拠は終わりを告げる。
全ては15歳の女の子らしい思いつめと、新米プロデューサーの不器用なすれ違いが生み出した、一種の誤解だった……と受け取ることも出来る決着です。

未だステージに立ってすらいない前川みくは、己の才非才を問われる立場にすら立っていなかったということなのか。
はたまた、『愛されるものの条件』を真向から受け止めることは避けたのか。
結果として、前川みくの『子供』らしい訴えを軸として回転していたお話は、『大人』としての意思伝達をミスしてしまったプロデューサーが問題を引き受ける形で落着します。
自体の収集と当事者同士の謝罪をしっかり画面に写し、キャラクターへの印象を損ねないように調整していることで、話が纏まった印象を強くしているのは流石です。

終戦処理で上手いな、と感じたのは、三村かな子に「私も、このままは嫌だなって思ったよ」とハッキリ言わせた所です。
あの台詞があるので、喫茶店占拠と心情の吐露が前川みくの独走ではなく、選ばれなかった者達の代弁になり、前川さんが孤立しない。
この状況を作るために、状況への不満や頑是無いいら立ちを前川さんが表明するときは、徹底して『みくたち』という複数形を主語にして語らせています。(いや、無論前川さんがみんなのことを考える子だってのもあんだろうけどさ)
今回のお話は前川みくだけの話ではなく、9/14の選ばれなかったメンバー全員のお話ということになるわけで、自然ラストの「みくたちはデビューの日まで頑張って力をつけるにゃ。だから……ファイトにゃ!」という聞き分けのいい台詞も、全員からの応援になります。

こうして選ばれなかったメンバーの苛立ちをまとめ上げ、構ってくれない大人への不信を獅子吼した前川さんたちは、頑是ない『子供』から選ばれた五人を素直に祝福する『大人』に立場を変えました。
これで前面に立つ五人(というか、ニュージェネレーションの三人)を徹底的にカメラに据えて、お話全体を前進させる体勢が整ったわけです。
凡人たちの不満を放っておいたまま話が進めば、不自然かつ不安定な展開に為っていたと思うので、此処で主役と(一旦の)脇役をしっかり切り分け、壁の花の意見も形にしたのは、非常にズルくて巧妙かつ、デリケートな処理だったと思います。

その上で、前川みくがおそらくは無意識に触れた『愛されるものの条件』には、正面からの答えが出ていません。
これが今後扱われるのか、それともテクニカルに真っ向勝負を避けて進んでいくのかは、先の展開を見なければどうとも言えない所です。
今回見せた『子供』と『大人』の境目を、どうやって成長で埋めていくかも引っ括めて、解決編であると同時に出題編でもある、なかなかリッチな回だったのではないでしょうか。
そして、物語を構成する上で非常に重要なピースをしっかり支えた、前川みくという偉大なる凡人には、掌が腫れ上がるまで拍手したいです。


前川さんの話ばっかりしてましたが、無論今回のお話は前川さんだけの物語ではありません。
シンデレラガールズらしい視野の広さで、色んな事が描写されていました。
個人的に好きなのは島村・渋谷の家庭、本田の学校という『346プロの外側』を挿入することで、キャラクターの身の丈がハッキリしたのが良かったです。
ああいう描写があると、キャラの生っぽさがグッと増す印象。

熊本弁の乱用で孤立しがちな蘭子にコンタクトし、喫茶店占拠においても先頭に立って説得を続けるきらりは、相変わらず聖人(エル・サント)過ぎて眩しい。
二話で多田さんに話しかけたり、三話で前川のヤバゲな発言を空気を読んで空気読まずにカブセで潰したり、一番唯我独尊な杏ちゃんの保護者をしたり、兎にも角にもレシーブとトス上げが巧すぎる。
最年長の新田さんがデビューで忙しいので、お姉さん役として癖のあるメンバーをまとめてるのは、きらりなのかなぁなどと想像します。
前川もみりあ&莉嘉のペドコンビの面倒をよく見ていて、お姉さんっぽい動きしてんだけどな……ホント中途半端な子で、愛おしい。

私服がコロコロ変わるのもシンデレラガールズの面白い所で、可愛い女の子が色んな服着てて楽しい! ってだけではなく、CDデビュー組は常時ジャージで対比作ってる所も見応えあった。
アレは一種の戦闘服であり、仕事という聖域に先発してる五人組の立場を、視覚的に説得する良い演出でした。
残りのメンバーも、早く戦闘服支給されねぇかな……。

話の大筋も、脇でのクスグリも、共にみっしり詰まったお話でした。
成長譚で触らなきゃいけないギリギリにタッチしつつ、お話全体のトーンをくすませることなく綺麗に終わらせる技術は、やっぱりアイカツ!第79話『Yes!ベストパートナー』を思い出します。
ゆにこ……やっぱハンパねぇな……(弦之介にぶった切られつつ終了)